マリモと地球温暖化 〜第一章 マリモの光合成能力〜
ここではマリモの光合成能力と地球温暖化の関係を考えたいと思います。
まず光合成のおさらいをしましょう。光合成は植物が光を使って栄養を作る反応です。その反応は二酸化炭素と水を使ってグルコース(一種の糖)と酸素を作る反応です。化学式で書くと
6CO2+12H2O→C6H12O6+6H2O+6O2 (CO2は二酸化炭素、H2Oは水、O2は酸素、C6H12O6はグルコース)
となります。この反応のうちグルコースはほとんどがセルロース{(C6H10O5)n}といって幹や葉の構成主要分になります。一部はデンプンになったりしてわれわれのご飯になります。
現在森林が二酸化炭素の吸収を期待されている理由は光合成
によって二酸化炭素を吸収して作ったグルコースをセルロースとして幹に溜め込むからです。(実際どのくらい森林が二酸化炭素を吸収するかはわかっていない
のですが…)計算上では樹木は264グラムの二酸化炭素から162グラムのセルロースをつくることができます。つまり1キログラムの樹木の体を作るために
1.6キログラムの二酸化炭素を吸収しているわけです。
ではわれわれのマリモはどのくらい二酸化炭素を吸収する能力があるのでしょうか??その能力によってどのくらい地球の温暖化防止に役立っているのでしょうか??
それを知るためにまず最初に阿寒湖のマリモを用いて行われたマリモの光合成能力を確かめる実験を見てみましょう。
実験を行ったのは阿寒マリモ調査研究会です。この光合成
能力の実験は水温22度で阿寒湖の湖水を用いて行われました。実験は大きさの違う6個体を用いて行われました。完全な球ではなく楕円のような形をして
いるマリモもあります。そこでそれぞれの個体の大きさは3面で投影され、その主軸の長さで測られました。つまりたて×横×高さのようなものです。便宜的に
縦を2a、横を2b、高さを2cとします。(マリモは球なので高さも縦もありませんが…)そして3つの平均を平均直径として求めました。
| 番号 |
2a(mm) |
2b(mm) |
2c(mm) |
平均直径(mm) |
| 1 |
61 |
48 |
48 |
52 |
| 2 |
74 |
68 |
55 |
66 |
| 3 |
46 |
38 |
33 |
39 |
| 4 |
23 |
18 |
15 |
19 |
| 5 |
24 |
19 |
15 |
19 |
| 6 |
39 |
28 |
18 |
28 |

結果は上図のとおりです。ごちゃごちゃしてるので少し補足説明を…。まずマリモの光合成量は光の強さが上がるとともにあがっていきます。ちなみに400μE/m-2s-1は2.16kluxにあたります。
(かなり強引な補正ですが…) 光があたらないとき、つまり光強度が0のときマリモは光合成を行えず呼吸のみしか行いませんから酸素の発生はなく吸収のみ行います。マリモも生き物ですから呼吸します。われわれ人間と同じように酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す呼吸を行います。
光がたっぷりあたって光合成を行うとき単位体積あたり(ここでは1立方ミリメートル)の光合成は体積が小さい個体のほうが活発に行っているこ
とがわかります。これはなぜでしょうか?マリモの体積が大きくなるにつれ中心から外側までの距離(半径)は大きくなります。すると大きくなればなるほど内
側の細胞には光が届かなくなります。ですから外側でのみしか光合成を行うことができません。つまり小さいマリモは中心まで光が届き全体で光合成を行うことが出来るの
に対し大きいマリモでは外側にしか光があたらず内側では光合成が出来ないので体全体の単位面積あたりの光合成量が低下したということになります。
ではわれわれが育てているマリモをこの実験と同じ条件で培養してやるとどのくらいの光合成能力を発揮してくれるのでしょう。
そして地球の温暖化抑制にどのくらい期待することが出来るのでしょうか。 続きは第二章に譲ります。具体例とともに第二章で紹介するつもりです。
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