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世界のマリ モ

1990年代後半からインターネット技術の普及により生物研究者の間でも国際的な活動が活発になりまし た。マリモ界でもこの恩恵を受けマリモの国際共同調査が行われるようになりました。その調査の結果明かされた世界各地の代表的なマリモ生息湖沼を紹介した いと思います。

エストニア共和国
アイスランド共和国
オーストリア共和国
スウェーデン
その他のマリモの生息が報告されている国

↑ヨーロッパのマリモ分布図


エストニア共和国

 エストニアはバルト三国の一番北の国、ロシアに国境を接している国です。その南部に位置するオイツ湖にはマリモが生息します。オイツ湖は周囲6km、最 大水深4mと小さくそして浅い湖であることが特徴です。(阿寒湖は周囲26km最大水深44.8m)
 オイツ湖で確認されたマリモの中で最大のものは直径17センチにも及びます。浅い小さい湖は環境の遷移の過程でマリモの生息に不利になるのが一般的です がオイツ湖は周りに森林が発達し湖水が清浄で、また底質が砂とマリモの生息に適した環境を保持しています。この湖のマリモは水深0.3〜0.7mの浅い所 にすんでいます。水が清浄でしかも浅い所に生息しているので光合成を活発に行うことができ表面が緻密で美しい球状マリモが生息しています。

 
 


アイスランド共和国

 高緯度に位置するア イスランドの北部にあるミーヴァトン湖にマリモがいます。アイスランドは火山の国です。阿寒湖も同じく火山の湖です。ミーヴァトン湖 も火山の影響の温泉が流入することが阿寒湖と同じ共通点です。ミーヴァトン湖は面積37平方キロメートルと阿寒湖の2.8倍なのですが、水深は2mと浅い 湖です。高緯度に位置しているにもかかわらず温かい温泉が流れているので冬でも結氷しません。
 ミーヴァトン湖には直径10〜13センチのものが2千万個生息していると考えられていますが、阿寒湖には10センチ以上のものは90万個ほどに過ぎませ んから20倍以上の数の大型マリモが生息しています。さらにミーヴァトン湖のマリモの中には遊走細胞(子供の一種みたいなものです)を出しているのか白い マリモがいます。これは大変稀なことで日本では確認されておらず、マリモの繁殖機構が解明されるのではと思われています。
 ミーヴァトン湖は水鳥の繁殖地で水鳥の餌としてマリモが注目されていますが、水鳥は近年減少傾向にあります。同じく減少傾向を示しているマリモとの関係 が注目されています。

阿寒湖畔EMCに展示されているミーヴァトン湖 のマリモ


これも同じく阿寒湖畔EMCのミーヴァトン湖のマリモ。水槽に寄ってみました。


展示されているミーヴァトン湖のマリモは小さな球形をしていますが、一部は泡をつけて浮いていました。これは光合成にアワによるものというより水を循環さ せているのでその際に入ってくる細かな空気の泡がくっついて浮いているようです。


オーストリア共和国

 オーストリアのツェラー湖は大型マリモが生息している湖として有名でしたが、1900年代初頭の湖岸の開発による水質汚濁の結果、絶滅してしまったとい われ、付近の住民ですらかつて大型マリモが生息していたことを知らない湖に成り果ててしまいました。しかし1999年の調査で岩石に付着するマリモ糸状体 が発見されました。


スウェーデン

 スウェーデンのダンネモーラ湖では18世紀前半に初めてマリモが採取されました。このマリモは1753年に分類学の祖リンネによって発表されました。こ の250年前の標本はイギリスにあるリンネ協会に現在でも保管されています。1999年にこのリンネの標本であるダンネモーラ湖産のマリモと日本の阿寒湖 のマリモのDNAを比較した結果ヨーロッパのマリモと日本のマリモは同種であることが確認されました。

 

 

その他のマリモの生息が報告されている国 
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デンマーク デンマーク領北方のフェロー諸島 (Faeroe Islands)のSyder醇rとSand醇rという島から「マリモ」が知られておりSand醇rのものは浮かんでいるそうです。
バルト海 バルト海は多くの川が流れ込んでいるため海水 の塩分濃度が低いためマリモの生息が確認されています。スウェーデン、フィンランド、ロシア、ポーランドなどから報告されているようです。
フィンランド          バルト海のボスニア湾岸のPori、 Raahe、Unsikaupinki、Vaasa、フィンランド湾岸のLoviisaとPorvooなどにマリモがあります。
ロシア フィンランド湾のVyborgsk入江と Ber'ozov島から「マリモ」が報告されています。内陸ではモスクワ付近のZabolosk湖やレニングラード付近のValdaj湖、Linno湖か ら報告されています。シベリア地方からの報告はないようです。
ドイツ ドイツでマリモは非常によく調べられておりベ ルリン近郊のStienitz湖、デンマークに近いSaukelmarker湖、Schleswigの湖ユトランド半島ホルスタイン地方のGrossen 湖とMechower湖、東ホルスタイン地方のPl醇rner、Keller、Diek、Krummenの各湖、Waren付近のM醇/font>ritz湖、ババリア地方のw醇/font>rm湖、スイス国境のBoden 湖などでマリモの生育が確認されています。Mechower湖のものは直径1.8cmで球形ですが他のものは芝生状であったり、石に付着しているそうで す。
オランダ Giethoorn 付近のMolengatでは糸状体が10〜20cmの厚さで生育しているそうです。球形で直径5cmのものがNaardermeerにあり、川が広くて沼 のようになったBoven WijdeやBeulaker Wijdeには直径8〜9cmに達するものがあると報告されている。
フランス ピレネー山脈のBagn醇Pres de Bigorreの 町に近いBleu湖に石に付着したマリモがあるそうです。パリの中心街のシテ島の北岸にもマリモが見られるそうです。
ハンガリー Tata付近のFenyes‐Qualleに 「マリモ」が見られるそうです。
スイス イタリアとの国境付近のいくつかの湖に見ら れ、そのうちMaggiore湖畔のLocarnoの町の近くには小さな球状の「マリモ」があるそうです。
イタリア MantovaとVeneziaに近い Padovaの植物園からクッション状のマリモが報告されています。
イギリス オー クニー諸島のMainland島のHarray湖、スコットランド、へブリデスのSouth Uist島のLower Kidnan湖、北部アイルランド のClone付近の湖、イングランドのSpittal、Settle、Penzance、Whitemereのいずれにも「マリモ」が生息しているとい う。このうちWhitemereのものは直径10センチに達する毬団であり、Penzanceのものは洞穴に生息するそうです
アイルランド共和国 Ballycullmain湖と Wicklowから「マリモ」が知られています。
中国 雲南省のManhao付近の温かな泉から「マ リモ」の仲間が1937年に発見された報告が唯一の例であるそうです
アメリカ合衆国 Long湖、Gayuta湖、Ontario 湖で「マリモ」が見られるが、Gayuta湖のものは、毬団だそうです。

 

各国語で「マリモ」


イ ンターネットの普及により国際的な協力の元にマリモの研究が行われるようになりました。前述したように各国でのマリモへの関心は高いとはいえずマリモ研究 においては日本が世界的に突出しており、マリモ研究リードしていると言えます。(というか、近年までマリモを本格的に研究しようという人は他国にはいませ んでした。)ですから現在、英語でもマリモを現すのは日本語をローマ字にしただけの「Marimo」が標準的になってきています。一応英語 でもいろいろな言い方がありますが、もっとも通じるのは「Marimo」のようです。
世界共通語としては「Marimo」が妥当な表現と言えます。

ここに挙げた用語でもそのような世界的動向ができる以前の資料を基に作成した 一例に過ぎません。

注)マリモがすむ各国に はマリモをあらわす単語がある場合があります。ただし、その言葉はマリモが住む一地方の言葉に過ぎず全国的に使われているような国 はありません。例えて言うならば、沖縄県八重山地方にイシガキトカゲという生物がいますが、こいつは地元の人やその筋のマニアのみに知られていてほとんど の日本人は知りません。マリモも他国ではこれと同じような 扱いとなっているのが実情のようです。逆にいうと国民のほとんどが「マリモ」を知っている日本のほうが世界的に見て稀な国だといえます。


英語 lakeball,Cladophora- ball,
globe Conferva,Moor ball.
(古い資料、専門的ではない英和辞典などではspherical mossも見かける)
ドイツ語 Seekn醇rdel,Seeball,Faselball,
Meerball,Wasserkugel.
フランス語 pelote marine.
オランダ語 Zeeballon,balvanbont,
groenwierbal,
イタリア語 motolino
スウェーデン語 sj醇rboll
ラテン語一般名 pila stagnail
参考文献:阪 井 與志雄 「マリモの科学」北海道大学図書刊行会 1991  
阿寒マリモ自然誌研究会「ヨーロッパのマリモ」阿寒マリモ自然誌研究会 2001