さっそくお部屋に入れていただいてマリモの話を伺います。以下そのお話を基にまとめてみました。
小川原湖のマリモが見つかったのは2001年。本格的な汽水湖で見つかったのは国内初の事例で貴重な群落として注目されています。
マリモの形態は上の図やおいおい出てくる写真をご覧になればわかると思いますが、岩や貝に付いた着生糸状体です。阿寒湖のような真ん丸のマリモは現時点
では小川原湖では発見されていません。マリモの生息場所は乱獲、盗採を防ぐため公表されていませんが、湖内のかなり広い範囲で見つかったそうです。
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↑小礫にくっついたマリモ着生糸状体
緑のモジャモジャがマリモ
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↑緑色の岩にこびりついているのがマリモ
「ただの藻」と見た目は大差ない
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かなり広い範囲で見つかったという事はマリモの量もそこそこ多いということなのですが、なぜこれまで発見されなかったのでしょうか。
マリモは阿寒湖のような美しい球状体になれば人目に付くので発見されやすいのですが、小川原湖のマリモは着生糸状体が主となっています。着生糸状体は有
名になりすぎた真ん丸マリモからは想像できないような「ただの藻」に見えるのでこれまでマリモとして見つかっていなかったのではと思います。
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また小川原湖の漁師さんたちの話によるとかつては姉沼、内沼付近の小川原湖で漁をすると網に球状マリモがひっかかったそうです。球状マリモは水を吸ってめちゃくちゃ重くなるので、その重さで漁の網を破ってしまったことがあったそうです。
このとき「球状マリモ」として発見されれば有名になったと思いますが、漁師さんたちにとってはマリモは大切な網を破るやっかいものに過ぎません。それで
マリモは「馬糞草」というあまりありがたくない名前をいただき漁師さんの目の敵にされていました。この厄介者は調査されることなく、時が移って湖が汚れて
いく間に姿を消したと考えられています。
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↑小川原湖岸。漁業が盛んな湖で漁船が舫ってある
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↑シジミについたマリモ着生糸状体
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小川原湖は海跡湖という湖に分類されています。その名の通り昔は海で地殻変動などで海から隔離され湖となった湖です。ですから周囲には昔の貝塚などが点在
し海であったことが偲ばれます。現在でも汽水を好む貝が住んでいて、私が2002年の夏に行ったときも、湖岸は砂浜で湖水浴場が湖岸に開かれています。
さて、「マリモの生活様式」というコーナーで述べていますが、砂の広がる湖底ではマリモは糸状体のままだと流されていなくなってしまいます。ましてや小
川原湖で発見されているのは岩、礫にくっついている着生糸状体です。砂浜の広がる小川原湖には一見、マリモ着生糸状体が暮らすことができる礫は無いように
見えます。
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しかし湖底には所々岩盤が露出したところがあります。そういった岩盤が露出しているところにマリモはくっついて暮らしているそうです。なかには数百平方
メートルの広さをもつ岩盤が露出したところもあるそうです。状態のよい所ではマリモはかなりの被度の高さで生息しているそうです。
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↑さまざまなサイズの礫についている
マリモ着生糸状体。緑の藻は全部マリモ
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↑水槽の掃除をしているとき剥がれたマリモ着生糸状体
ペットボトルの底で大きくなってる
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面白い物を担当者の方が見せてくださいました。写真のペットボトルをご覧ください。これはマリモです。マリモを展示している水槽の掃除をしているとき剥
がれ落ちてしまったマリモの着生糸状体を捨てるのも忍びないのでペットボトルに入れておいたら、短期間でかなり成長してしまったものだそうです。中の水は
何を使用しているのか尋ねたら水道水とのことでした。マリモを栽培されている方も多いと思いますが、こういったペットボトルの底で水道水という金をかけな
い環境でもマリモは立派に成長することが高瀬川総合開発工事事務所で目の当たりに出来ました。
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さて地元の住民の方がこのマリモにどのくらいの関心を寄せているかというと、残念ながら関心はそれほど高くないようです。たまに小学生が環境教育の一環と
して小川原湖のマリモに関する授業を行う程度だそうです。PR不足もあってか今後のマリモの「利用」方法とかに関してはまったくの白紙という状態だそうで
す。そういう関心が集まりすぎて観光の目玉に担ぎ上げられ観光客が押し寄せ生息環境が悪化するよりはよいかもしれません。ただあまりにも関心が低すぎると
マリモを顧みられない開発等が行われそうになっても保護活動が行われないという恐れもあります。一マリモファンとしてはそっとしてあげてほしいという反
面、こっちは蝦夷地からわざわざ見に来ている物に無関心なのかと思うと複雑な気分です。
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↑ペットボトルマリモ拡大
↑別の剥がれたマリモ。
成長しているのがおわかりいただけると思う
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↑マリモが置いてある水槽
後ろには説明のパネルがある
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この日は高瀬川総合開発工事事務所も御用納めの日。マリモについて話している間に「年末の所長挨拶を行う」という放送がありました。私達に説明している担
当の方を残して、部屋にいた方たちは所長挨拶を聞きにいってしまいました。「私達のせいでなんだか申し訳ないなぁ、あとで所長に怒られなければ良いが」と
思い、長居をするのも気が引けたので、最後に玄関においてあるマリモの水槽を拝見して退散することにしました。
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玄関前に水槽(75リットル水槽くらいかな?)が置いてあって、その中に貝や礫にくっついているマリモの着生糸状体がいます。水槽にはpH計と濾過装置、
蛍光灯が取り付けられていてなかなか豪華な水槽でした。水槽は玄関近くで冷える場所なのですが、まぁ冬にマイナス25℃以下になる阿寒湖で暮らすマリモに
較べれば八戸の屋内にいるマリモは温室そだちと言えるでしょう。ただ夏は八戸もかなりの高温になるらしく、ペットボトルを凍らせた物を水槽に入れ水温を下
げるとおっしゃっていました。
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↑水から出してもらったマリモがくっついている礫
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↑水槽から出してもらったシジミの
殻についているマリモ
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水は現在は水道水を使用しているとのこと。最初は小川原湖の水を使っていたのですが、すぐに藻が発生し水槽が汚れるので湖水は使用しなくなったそうです。
おそらく湖水に入っている藍藻・珪藻・マリモ以外の緑藻や、藻類以外の微生物の類が繁殖したのでしょう(うちのサイトでも川や湖の水をマリモの栽培に使うのは勧めておりません)そのあとミネラルウォー
ターを使っていたそうですが、金がかかるので、水道水に切り替え、特に問題が無いようなので現在は水道水に落ちついたとのことでした。再び高瀬川総合開発
工事事務所でマリモ栽培に金をかける必要はない事を確認しました。
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水槽の周りには小川原湖やマリモに関する説明があってなかなか見ごたえがありました。担当の方が「せっかくだから水槽から出しますか?」とおっしゃって
くださったのでお言葉に甘えることにします。すると担当の方は腕まくりをして水槽に手を突っ込んでマリモを出してくださいました。この冬にヒーター無しの
水槽に腕を突っ込んでくれるなんてエライなぁと素直に思いました。外は猛吹雪の日でしたので…。
とってくださったマリモを写真に収めたり、そろりと触ったりしてみます。これぞマリモ着生糸状体という手触りでした。
また水槽の近くに貼ってある小川原湖やマリモの説明を読みます。なかなか詳しく面白いものでした。
マリモを水槽に戻し担当の方にお礼を言って退出をします。帰りがけに小川湖の概要が書かれた資料やマリモの写真、そしてできたばかりという小川原湖の生物をまとめたCD-ROMをいただいて再び恐縮します。
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↑説明パネルの一部
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