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タテヤママリモ

ここでは近年阿寒湖のマリモとは別種だと判明したタテヤママリモについて紹介します。

まず写真でタテヤママリモはどんなやつか紹介しましょう。


煎餅の様に平べったくなるやつもいます。
切れている右の水槽のやつは球〜楕円球


マリモのように丸くなりますが直径は5cm程度です
これは水面に浮かんでいる物です。

煎餅型のやつのアップです。平べったい様子が
お分かりいただけると思います

浮いている煎餅型アップです。ここにある写真は
すべてタテヤママリモが最初に発見された富山県の
池のタテヤママリモです。


タテヤママリモの発見
タテヤママリモは富山県立山町の民家の普通の池から見つかりました。この池の持ち主の方の話によると1977年から池の水を川の水から北アルプスからの湧 き水に変えたところ池に緑色の藻のような物が溜まるようになったそうです。池の持ち主の方は「マリモだとは考えもしなかったので取り出しては捨てていた」 そうです。しかしだんだん多くなってい くのが不思議で1987年富山市科学センターに持ち込みました。そして1991年北海道教育大釧路分校の神田房行教授が「阿寒湖のマリモと同じマリモであ る」と学会で発表しました。  さて、そこで疑問になったことは「なぜ阿寒湖のマリモと同じマリモが富山県にあるのか?」ということでした。またタテヤママリモは阿寒湖のマリモと比べ て非常に成長のスピードが早いということも大きな疑問となりました。なぜ富山県にいるかということに関しては阿寒湖などから持ち去られたマリモが富山県に 入ったという「外来説」と富山県のどこかに人知れず生き残っていたも のが湧き水を通って現れたという「自生説」が唱えられました。


新種「タテヤママリモ」
  当初はタテヤママリモの生育地域が狭いため外来説が有力でした。しかし1997年に北海道の阿寒町の研究グループがマリモのDNA鑑定をしたところタテヤ ママリモが阿寒湖のマリモとは違う種であるころを発見しました。また、当時マリモにはいくつかの品種があると思われていましたがほかの品種すべてが阿寒湖 の「マリモ」と同じ品種でタテヤママリモだけが違う種であることもDNA分析によってわかりました。タテヤママリモとマリモは解析したDNA1000単位 のうち100単位以上に違いがみられました。このタテヤママリモの分類に関することは「マリモの種類」のコーナーもご覧になってください。


タテヤママリモとマリモの相違点と共通点

 タテヤマリモはマリモと一時期同じ種だと考えられていたほどマリモと似ているのですが違う種あるから違う生態も持っています。そこでここではその違いと共通点を述べてみましょう。
まず共通点ですが丸めれば球状の集合体を作ることがあげられます。発見された立山町ではタテヤママリモは球体として発見されました。あと湧水が好きなこと も共通の特徴です。湧水には多少の栄養塩を含んでいる場合がありタテヤママリモもマリモも湧水の近くに群落を作るケースが多いです。 次にタテヤママリモとマリモの相違点です。
 まずマリモより明るいところに分布していることがあげられます。琵琶湖はタテヤママリモとマリモがいっしょに生息しているのが確認されている唯一の湖なのですが、タテヤママリモがマリモより浅いところに分布しています。
 次にタテヤママリモはマリモのような緻密な球状体は作らないことがあげられます。阿寒湖のマリモはご存知のとおり大きな球状体を作りますがタテヤママリモはほとんど集合体を作らず着生糸状体の形で発見されており集合体を作るとしても緩い集合体しか作りません。
 またタテヤママリモは現在日本国内からしか発見されていません。マリモがヨーロッパ、アメリカ、アジアの世界各国から報告されているのに比べれば分布域が非常に限られているでしょう。ですから日本固有種の可能性があります。
しかし日本国内のみで見るとタテヤママリモは北海道から九州まで広いところで見つかっています。マリモは北海道を中心とする東日本からの報告に偏っています。本州では北海道に近い下北半島、あとは琵琶湖と富士五湖からしかマリモの報告はありません。
 タテヤママリモはマリモより「人里」 に近い所で分布していることも特徴に上げられます。最初に発見されたのは民家の池ですし、福岡では福岡市東区という大都市の中から発見されています。おそ らくいろんな所に分布していると思いますがマリモに比べて目立たない地味な藻ですから見逃されているのでしょう。全国一斉タテヤママリモ狩りを行えば47 都道府県のうち20都道府県くらいからは見つかるかもしれませんね。
 最後にもっとも大きな違いだと思うものはタテヤママリモは完全な淡水を好むということです。マリモは薄い海水で培養すると伸長が早くなることが確認され ていますし、また天然の分布でも海跡湖や汽水湖でも確認されています。しかしタテヤママリモは淡水を好み井戸水や湧水帯で発見されています。ただ北海道の 湖沼では海から数キロの海跡湖にタテヤママリモが分布しており淡水になったばかり(といっても淡水になって数千年はたっていますが…)の湖にタテヤママリ モがいるのは不思議なところです。こういった謎が多いところがマリモやタテヤママリモの面白いところだと思います。


タテヤママリモの分布
 分布地図

 分布している地域はまず発見された富山県の立山町。ここでは夏の暑いときでも冬の寒いときでも水温が14度前後の豊富な湧き水に分布しています。1988年に民家の池で藻体がもつれあって丸くなった纏綿浮遊型のものが見つかりました。
 また日本で一番大きな湖の琵琶湖にも生息しています。琵琶湖はマリモも見つかっておりタテヤママリモとマリモが共存する唯一の湖となっております。
 栃木県佐野市では日本名水百選に認定された出流原弁天池近くの水路で発見されています。
 福岡県では福岡市東区・新宮町・古賀市で発見されています。とくに福岡市のような大都市近郊で見つかっているところがタテヤママリモが「人里」近くにいる藻類だということを示していると思います。
 兵庫県上郡町の安室川と千種川から取水する農業用水路数カ所で確認されています。ここでは水底にくっついている着生型として発見されました。
 北海道では猿払村のキモマ沼、カムイト沼、浜頓別町のポン沼などでも見つかっています。これらの沼は海跡湖で海から数キロしか離れていません。マリモと違い淡水を好むタテヤママリモが海跡湖にいる面白い事例だと思います。

  タテヤママリモは日本各地で発見されていますが、その分布はとびとびです。何でこのような分布をしているのかは分かりません。逆にいうといまだに発見され ていない生息地がたくさんあるのでこのような分布型になっているのかもしれません。タテヤママリモは地味な藻で目立たないですから。あなたの側にもタテヤ ママリモはいるかもしれませんね。

 

参考資料:北日本新聞 2000年10月21日版
 北海道新聞 1992年6月14日版
1992年8月5日版
1997年2月15日版
1998年5月22日版
立山町ホームページ http://www.town.tateyama.toyama.jp/

2002.10.8改訂
2003.9.30増補