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第一章 お土産のため天然マリモ減少中


この章のポイント

1、お土産で売られてているマリモは養殖した物ではなく湖にある天然のマリモを加工して作られていること

2、その材料を過剰に採取しているために天然マリモの材料を採取する湖のマリモは減少傾向にあること


以下詳細です。

 阿寒湖の特別天然記念物のマリモ。その珍妙な真ん丸い形態は人をひきつけるものがあります。そのマリモの姿に惹かれ「お土産マリモ」を買っていく観光客の方もたくさんいます。しかしこの「お土産マリモ」=「人工マリモ」生産のせいで天然マリモの減少という事態が起こっています。なぜこのような事態が起こっているのでしょうか。


 1、はじめに
 お土産マリモによる天然マリモの破壊に触れる前に、お土産マリモについて紹介しておきましょう。まず阿寒湖のマリモは特別天然記念物ですから売ることはできません。お土産マリモは釧路湿原国立公園内のシラルトロ湖という湖にいるマリモから作られます。ここのマリモは阿寒湖のようにまん丸ではありません。糸のような細長いマリモです。マリモとは?のコーナーに書いてあるように、マリモとは真ん丸い藻の塊のことではなく、それを形成している藻の繊維(糸状体)一本一本が「マリモ」なのです。つまり丸かろうが丸くなかろうがマリモという名は糸状体を指し、その集合体が皆さんご存知の阿寒湖のまん丸い「マリモ」集合体となります。ですから釧路湿原のお土産マリモの原料のマリモ糸状体も阿寒湖のマリモと生物学的には同じ「マリモ」という生物に分類されるのです。さてお土産マリモのビンには「養殖マリモ」と書いてあるものもあります。
 
 しかしお土産マリモは完全な養殖品ではなく、シラルトロ湖という湖から天然のマリモ糸状体(→マリモ糸状体とは?)を採ってきて、人間の手で丸めてビンに詰めて売っています。しかも「養殖」とか「人工育成」といったようなあたかも人間の手によって育てられたようなイメージを沸かせる言葉と共に。日本各地で販売されているマリモはすべてこのシラルトロ湖産の天然マリモを材料にしています。(輸入品を除く)養殖とは「魚・貝・海藻などを池や生眦(いけす),筏(いかだ)などの施設で人為的にふやし育てること。」という意味ですから、人工マリモに「養殖」「人工育成」といった言葉は本来使えません。


 2、シラルトロ湖のマリモの現状

↑人工マリモの故郷 シラルトロ湖

 シラルトロ湖は釧路湿原の北東部に位置する海抜高度8m、最大水深2.8m、面積1.8平方キロメートルの浅い湖です。この湖のマリモは阿寒湖のマリモのように丸くならず、糸状のまま生活しています。マリモは北部湖底に分布しており、場所によっては10〜20cmも堆積しています。マリモは湖北部に特に多くマリモ群落はいくつものパッチ状個体群が連続して巨大な群落を形成しています。これだけのマリモの分布面積、量を持つ湖沼は、日本では阿寒湖以外にありません。
 しかし、1970年代後半には、シラルトロ湖全域でマリモが確認されています。1960年代後半から1970年代の調査では浅瀬に大量にマリモが流れ着いたという事も観察されています。1965年ごろには「8月初旬の晴天次には(シラルトロ)湖の南西部湖面に一様に浮遊し気泡を発する。」ともあります。このことから過去のシラルトロ湖のマリモはパッチ状にしか分布していない現在より分布域も広く生存量も多く、現在シラルトロのマリモは減ってきているのではと懸念されています。実際に年々お土産マリモの原料採取が難しくなっているという事実はシラルトロ湖のマリモが減ってきている事実を如実に表しているのではないでしょうか。


第二章シラルトロ湖のマリモ採取

参考文献
シラルトロ湖のまりも調査資料第一集 標茶町教育委員会 1965
標茶町郷土館報告 第10号 p1−11 1997
希少野生生物種とその生息地としての
   湿地生態系の保全に関する研究報告書 p295−328
    環境庁自然保護局・財団法人日本鳥類保護連盟 1998
新しい総合計画に向けてのアンケート 調査報告標茶町 企画振興室 振興課
2001.11.9作成

2001.11.27改訂

2002.10.18再改訂