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第九章 マリモの漁業権を再考察



 さて第八章では北海道で一番読まれている北海道新聞に掲載されたシラルトロ湖のマリモの減少っぷりに関する記事を載せました。その記事を踏まえ第四章で道庁に聞きに行ったマリモの漁業権についてのインタビューを振り返ってみましょう。マリモの漁業権は10年ごとに見直され今年(2003年)がその見直しの年にあたります。



最初の質問ではマリモの漁業権について聞きました。


Q1、マリモの漁業権の概要について教えてください

道、
 マリモの漁業権は平成5年9月1日に設定され、10年間認可されています。この漁業権は平成5年から10ヵ年の漁業権で、 10年経てばそのときの状況を踏まえて再度見直します。問題無ければ継続させるし、問題があれば中身を検討した上で漁業権化、それからまったく逆に漁業権が設定されたことで問題が生じるのであれば、漁業権化は認めない、といった判断が10年刻みでありますので、そのために約二年後改めて シラルトロ湖のマリモについて地元の話を伺って、漁業権設定するのがいいのか悪いのかといったことを検討します
 平成5年以前は阿寒湖のマリモ以外のマリモは自由に持って行けるので、けっこう一般の方がシラルトロ湖の、マリモを採取して持っていったという実態がある。それで現地のほうとしてはそれではいかんと。大勢の人間にもっていかれるので、保護ができない。それで何とかならんのかという中で、漁業権で、漁業組合員にだけ採取を認めて、ほかの人間にはだめよという権利設定をしてしまえば、これは逆の意味で守れる。それで (漁業)組合員が使うにしてもシラルトロ湖のマリモが自然に増えてくる、自然の再生産のサイクル以上のものは採りません
 要するに今の現存量を維持しながら、増えていって再生産に問題無い分だけ漁業する。ですから言葉だけ見ると、漁業権ですから採る、それこそ天然記念物(作者注 シラルトロ湖のマリモは天然記念物ではありません。) で希少種を採るということで違和感があるが現実的には地元のかたがたが、湖のマリモを、残念ながら天然記念物ではないマリモを、ほかの人が勝手に持っていく部分をシャットアウトして、守っていこう、そのための権利設定と思っていただいたほうがいいと思います。現実的に今こういった種について守るべき手段が無い。だからこういった希少種を漁業権という水産サイドの制度で守ることが適当かどうかという疑問はあるが、現在法的な手段が無い中でこういった制度があるのでそれを今現地で活用しているといったところです。おそらくはじめに感じたときと今とでは感じが違うと思うが決して希少なものを、無駄に、必要以上に(採取している)、ということではなくて保護という観点からの漁業権ということなんです。



 「自然の再生産サイクル以上」かどうか、「再生産に問題無い分」かどうかはもはや自明ですね。漁業権ではマリモは守られなかったと言えるでしょう。今年(2003年)が漁業権の見直しの年。どのように見直されるのでしょうか。







さらにこんな質問をしていました。


Q3、環境サイドの文書などでは、シラルトロ湖のマリモについては増えた分を採取しているという状況ではなく、むしろマリモ全体としては減っているのではないかということでした。先ほど地元の声を聞いて判断するとおっしゃいましたが、地元の声というのは具体的にどのような人から話を聞くのですか?

道、
 役場か、漁協、研究者や出先機関です。現地の調査も行ったことありますけれど、札幌から全部行くと非効率ですし、支庁もありますし。
 漁協といっても内水面(川や湖などのこと)の話ですから、地元住民が組合員、漁業もかねているということになりますから、ほかの商売、たとえば旅館業などのほかの仕事をやりながら漁業をやっていくというスタイルですので、そこ(シラルトロ湖近辺)に住んでいる人方です。平成5年から今までやっている中で、採りすぎていれば当然資源が減っているという話が出てくるだろうけれども、そういった現地からの報告は出ていません。その量はほぼ適当な数字なのかな?
 今言ったようなご指摘があるのなら、当然次の(筆者註 漁業権見直しのとき、平成15年)ときに、採ることがいいのか悪いのかという論議のほかに、採ることが是とするのならば、二トン程度の採取がいいのか悪いのか、もっと押さえるべきなのかという議論は出てくると思います。



 漁業権設定以後もマリモは減少しつづけ、研究者のマリモ減少の指摘はかなり以前から、そして改定の年には新聞報道されるくらい資源としては枯渇してきている。今年の漁業権のときにはさまざまな議論が出てきそうですね。この漁業権がどうなるか注目していましょう。


2003.2.28作成